詐欺が横行しているからこそ知っておくべきMT5の基本と対処法

昨今、問題になっている詐欺の手口の一つに「MT5詐欺」が挙げられます。一見しただけでは、一体何をするのか全くわからない詐欺かもしれません。そこで今回は

  • MT5はそもそも何か
  • MT5詐欺はどういう手口で進められるのか

について正しい知識を学びましょう。

MT5とは

MT5とは

最初に、MT5(メタトレーダー5)がそもそも何かについて解説しましょう。

FXトレード用の無料ツール

MT5は、FXトレード用無料ツールの1つです。日本では対応している証券会社が少ないため、なじみが薄いです。

しかし、自動売買や指標の表示など便利な機能が付帯しているため、ある程度投資経験がある人を中心に好まれています。なお、パソコンやスマートフォンがあれば、専用のソフト・アプリをダウンロードするだけで無料で利用可能です。

MT5の公式サイトはこちら

日本語でも正式にサービスを提供

MT5を提供しているのは、ロシアのソフトウェア会社『メタクオーツ(MetaQuotes)』です。

同社は同じくFXトレード用のツールである「MT4(メタトレーダー4)」や多言語対応グループウェア「TeamWox」などもリリースしてきました。2015年には日本法人である株式会社メタクオーツ・ソフトウェア・ジャパンを設立し、日本語でのサービス・サポートの提供にも力を入れています

MT5詐欺の仕組みは?

このような背景を鑑みると、MT5自体が詐欺を目的に運営されているツールである可能性は極めて低いでしょう。仮に、詐欺を目的に運営されていたなら、日本法人を立ち上げることは一斉検挙されるリスクを伴う行為になりうるからです。

一方で、残念なことにMT5を悪用した詐欺は横行しています。ここから先はMT5を悪用した詐欺の手口について解説しましょう。

既に触れた通り、日本の証券会社を通じてFXトレードを行う場合、専用の取引ツールを用いるのが一般的です。MT5に対応している証券会社もありますが、数がかなり少ないため

  • 長年FXトレードを続けている
  • 元々金融業界で働いていたなど、金融に関連する知見がある

人でもなければ、MT5の存在すら知らない人も多いかもしれません。だからこそ、以下の手順での詐欺が成立します。

  1. SNSやマッチングアプリを使ってターゲットになりそうな人に声をかける
  2. やり取りをして信頼関係を築く
  3. ある程度打ち解けたところで「MT5を使ってFXトレードをすれば儲かる」と声をかけ、資金をだまし取る
  4. 資金をだまし取ったところでフェードアウトし、連絡を取れない状態にする

なお、MT5はあくまで「FXトレードをするためのソフトの一種」であり、これを使えば必ず儲かるというものでもありません。その事実を知っている人であれば「MT5を使えば儲かる」と言われても「何かがおかしい」と気づくでしょう。

しかし、知らない人であれば「そんなものなのか」と思ってしまいがちであるため、餌食にもなってしまうのです。

MT5詐欺に引っかかった場合の対処法は?

MT5詐欺に引っかかった場合の対処法は?

それでは、万が一不運にもMT5詐欺に引っかかってしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。現実的な対処法をまとめました。

対処法1.友人に相談する

周囲にFXトレードの経験があったり、話をじっくり聞いてくれそうな友人・知人がいる場合はまずは話をしてみましょう。

MT5詐欺を含めた詐欺の場合、話す・聞くことが各段に上手な犯人がいるため、自分が被害に遭っていることにすら気づかないまま、被害がどんどん拡大しているケースも散見されます。友人・知人に自身が置かれている状況を話すことで、頭が整理されて「自分は事件に巻き込まれている」ことに気づけるはずです。

対処法2.警察に相談する

自分はもしかしたら詐欺に遭っているのでは?と思ったら、警察にも相談しておきましょう。ここで注意したいのは「相談したらすぐに動いてくれる」わけではないという点です。警察には「民事不介入」といって「個人的なもめごとには介入しない」という原則があります。

そのため、犯人も定かでなく、ただ「だまされたのでは?」という状態では話を聞いてもらって終わりになるかもしれません。ただし「警察に相談した」という事実が後々重要になってくるため、面倒くさがらずに相談だけはしておきましょう。

対処法3.NPO法人に相談する

これも即解決に結びつくわけではありませんが、犯罪被害者支援を行っているNPO法人に相談するのも1つの手段です

MT5詐欺を含め、犯罪の被害者になるということは多大な精神的苦痛を伴います。専門の相談員に話を聞いてもらうだけでも、楽になれるのは大きなプラスです。

対処法4.弁護士に相談する

やはり、本気で解決を目指すなら、弁護士に相談しましょう

仮に、犯人から「MT5で運用して増やすから」とお金をだまし取られたとしても、弁護士に依頼すれば被害者である自身の代理人として交渉を行ってくれるはずです。

自分で交渉してなしのつぶでだった場合でも、弁護士が出てきたとたん態度を変える犯人もやはりいます

だまし取られた時点から経過した時間が短ければ短いほど、犯人からの返金が受けられる確率が高いのも事実なので、一刻も早く詐欺事件に強い弁護士に相談しましょう。