FX詐欺の被害に遭ったら警察に相談すべき?相談先や返金方法を状況別に紹介!

FXとは日本語で「外国為替証拠金取引」のことを指し、簡単に説明すると証拠金を取引業者に預けた上で外国通貨に換金してから、為替の変動を見てまた元の通貨に換金して差額を損益として清算する取引です。

FX取引では手元のお金よりも大きい金額で取引できるため、大きな利益を狙える可能性がありますが、常時変動する為替相場の動きに合わせた取引は大変難しく大きな損失につながることもあるため、FX取引の際はしっかり勉強する必要があります。

しかし、「自動売買ツール」を利用して最適なタイミングでソフトが取引できるように謳った詐欺や、悪徳な偽の取引業者による詐欺が年々増えています。

FX詐欺被害に遭ってしまったらどこに相談するのがベストかを解説しますので、できるだけ早めに相談して被害の早期回復に努めましょう。
【この記事でわかること】

  • FX詐欺の被害にあった時の相談先
  • FX詐欺で騙されたお金を取り返す方法
  • FX詐欺は弁護士に相談するべき理由
  • FX詐欺被害について弁護士に相談する時の注意点

FX詐欺の被害にあったら警察に被害届を出すべき?


FX詐欺に遭ったとわかったら、まず相談先として思い浮かぶのが「警察」ではないでしょうか。

FX詐欺は刑事事件として取り扱われるため、事件の捜査と犯人逮捕のためにまずは警察に「被害届」を出しましょう。

被害届を提出する目的は「被害あった事実と状況の報告」のため、被害の事実と状況を包み隠さず伝える必要があります。

被害届は原則的には提出すれば全て受理されますが、以下のような場合では被害届が受理されても捜査してもらえない可能性がありますので注意が必要です。

  • 刑事事件の可能性が低い場合
  • 被害金額が少ない場合
  • 事件発生から時間が経過している場合

ただし、被害届提出後すぐに捜査が始まらなくても、別の詐欺事件発生時に共通の事件として捜査されるなど後から捜査されて犯人逮捕に至る事例もありますので、捜査されないならと諦めずにまずは被害届を提出し詐欺事件の事実を報告しましょう。

FX詐欺の被害に遭ったときの相談先


FX詐欺被害に遭ってしまった時にはまず警察に被害届を提出して相談することが大切ですが、まだ実質的に金銭的な被害には遭っていないものの疑わしい場合や、外国籍や海外居住者に騙された場合はそれぞれ別に相談先を検討したほうが良いでしょう。

以下に挙げた具体的な相談窓口について解説しますので、自分の状況に合うところへ相談してみることをおすすめします。

まだ疑いの段階なら警察相談専用電話「#9110」へ

警察への電話というと「110番」だと思われがちですが、110番は警察官に助けを求める緊急時のみ利用する「緊急通報ダイヤル」です。

そのためFX詐欺に巻き込まれた可能性についての相談には、「#9110」という「警察相談専用電話」を利用しましょう。

#9110では警察への相談を受理するための総合的な窓口で、最寄りの警察署に直接行かずに電話で相談できます。

全国どこからかけてもその地域を管轄する警察本部などにつながる全国共通のダイヤルで、受付時間は平日の日中のみのため注意しましょう。

相談の対応には専門の相談員が当たる場合や、専門の担当部署を紹介してもらえることもあり各警察本部で対応が異なるようです。

警察相談専用電話では相談内容についての指導や助言、相手型への警告や検挙など必要な措置を取ってもらえるため、相談することによって事件が解決する可能性がありますので詐欺被害に遭いそうな場合は積極的に利用しましょう。

警察に相談するなら「サイバー犯罪相談窓口」へ

「ネット上のFX取引で入力したカード情報が不正に使われている」などといった直接お金を騙し取られる以外のネット上の詐欺被害に関しては、警視庁が管轄している「サイバー犯罪相談窓口」に相談しましょう。

各都道府県の警察本部がそれぞれ運営しており、メールや電話で相談を受け付けています。

また、FX詐欺被害の情報提供にもサイバー犯罪相談窓口が利用できます。

身近な人がFX詐欺被害に遭ったときや、明らかな詐欺行為を目にした場合は2次被害を防ぐためにも確かな情報提供に協力することも大切です。

注意点として、同じ警察が管轄しているものの被害届の受付や直接的な捜査や犯人逮捕はできませんので間違えないよう注意しましょう。

どうすればよいのかわからないなら金融庁の「金融サービス利用者相談室」へ

「FXに誘われて初めてみたものの、誘ってきた相手の言う通りに取引したら大きな損失になった」などといった状況では詐欺に遭ったとはっきり言えませんし、そもそもFXについてよくわかっていないためどうしていいかわからないかもしれません。

このような場合には、金融庁に設置されている相談窓口の「金融サービス利用者相談室」を利用してはいかがでしょう。

金融サービス利用者相談室では「投資商品・証券市場制度・取引所等」に関する個人と金融機関のトラブルについて、状況に合わせたアドバイスが受けられます。

問題解決のために具体的な斡旋や調停などはできないとされていますが、他の然るべき機関への紹介やトラブルの論点の整理についてアドバイしてもらい、自分が今何をするべきなのかをはっきりさせる助けになるでしょう。

海外の人にだまされた可能性があるなら「越境消費者センター」へ

国民生活センターは消費者庁管轄の独立行政法人で、国民生活の安定や向上を目的に設立された機関です。

FX取引における海外の取引業者とのトラブルがあった場合は、「国民生活センター越境消費者センター」への相談がおすすめです。

海外事業屋とのFX取引では、「取引成立後に出金申請しても応じてくれない」、「入金後問い合わせても返答がない」などのトラブル事例が多くみられます。

海外事業者は金融庁に登録せずに営業している場合が多く、企業の実体を把握できないなどトラブルになっても解決が難しいと言われています。

越境消費者センターでは、複数ヵ国の海外の窓口機関と連携し必要に応じて相手国の事業者に相談内容を伝達するなどしてトラブル解決に動いてくれる可能性がありますので、海外FX取引事業者に騙された場合は相談してみましょう。

FX詐欺被害でだまされたお金を取り返すには


FX詐欺は組織的なグループ半の反抗であることも多く、犯人の身元の特定が難しいことや振り込み後のお金をすぐ別の口座に移されたりと返金がかなり困難であると言われています。

しかし、被害に遭った時点で相手に関する情報がわかっていればすぐに対策し返金できる可能性があります。

ここでは以下の状況における対策法をそれぞれ解説しますので、ぜひ参考にしてください。

振込先口座がわかっているなら振り込め「詐欺救済法」を利用

FX詐欺で日本国内の銀行口座にお金を振り込んだ場合は、すぐに「振り込め詐欺救済法」の手続きをとりましょう。

「振り込め詐欺救済法」とは、FX詐欺やオレオレ詐欺などの特殊詐欺において日本国内の銀行口座に振り込みした被害者に対し、口座を凍結して残高を被害者に分配するという詐欺被害の救済制度です。

振り込め詐欺救済法を利用して返金されるまでにはいくつかの条件がありますが、返金が難しいとされるFX詐欺において少しでも返金の可能性が期待できる措置ですので積極的に利用しましょう。

実際に振り込め詐欺救済法を利用するためには、振込先の金融機関に詐欺被害の内容と救済法を申請してから警察に被害届を提出します。

金融機関の調査を経て口座が凍結されると、その口座は入出金などの手続きが一切できなくなります。

その後返金のための支払い手続き申請期間に他に同じ口座に振り込みした別の被害者の有無で分配金額が決定し返金されます。

ただし、振込先の口座の残高以上の返金ができないため、残高がない場合は適用できないため注意しましょう。

相手が特定できているなら「少額訴訟」を利用

「FX投資を代わりにやってあげると言われ10万円渡したが返ってこない」など。個人間のお金のやり取りで返金を求める場合、訴訟を起こして返金請求するのには時間とコストがかかります。

その点「少額控訴」であれば、通常の訴訟に比べてかかる時間や費用が少なくすみます。

少額控訴には申し立て条件やポイントがあります。

  • 請求金額が60万円以下
  • 少額控訴を行った回数が年間10回以下
  • 控訴相手の住所がはっきりわかっている
  • 相手が弁護士に依頼していない

以上の条件に当てはまる場合は「少額控訴」できる可能性がありますので、検討してみてはいかがでしょう。

FX詐欺被害に遭ったら弁護士に相談がベスト!


FX詐欺被害が高額で相手が業者の場合は、自分で被害回復しようと思ってもかなり難しいため、早い段階で「弁護士」に相談するのがベストです。

警察は事件の捜査や犯人逮捕による事件解決に当たってくれますし、その他の相談窓口では今やるべきことに対するアドバイスが受けられますが、返金請求や慰謝料請求といったお金に関する被害回復ができるのは弁護士だけです。

という点について詳しく解説します。

弁護士なら刑事事件の解決から返金請求まで一任できる

FX詐欺被害回復のためには、まずは警察に被害届を提出して事件として捜査し犯人を逮捕することが大切です。

しかし被害届を提出してスムーズに受理されるためには、届出書に詳細な情報を細かく記載しなければなりませんが、初めて被害届を書く人にとっては何が必要な情報なのか識別するのは難しいでしょう。

そこで初めから弁護士に相談していると、被害届の提出に必要な情報の整理から返金制空に至るまでを一任できます。

「振り込め詐欺救済法」の申請や他の返金申請の手続きに関しても、本人が直接出向かなくても弁護士に依頼すれば代理人として手続きを依頼することもできます。

FX詐欺に精通した弁護士であれば、詐欺師の傾向や対策がわかっていることもありますので、弁護士事務所へ問い合わせたり、無料相談を利用するなどして最適な弁護士を探しましょう。

FX詐欺被害を弁護士に相談する際の注意点


弁護士にFX詐欺被害の回復を依頼すればそれで全て解決するわけではありません。

FX詐欺における弁護士の選び方ややるべきことなど、弁護士に相談する際の注意点について以下をぜひ参考にしてください。

FX詐欺の取り扱い実績があるかどうか確認する

弁護士は殺人事件などの刑事事件や離婚問題などの民事事案すべての取り扱いができます。

とはいえ全ての事案をオールマイティにこなすのは無理がありますので、得意分野に絞って担当している弁護士がほとんどです、

そのためFX詐欺に関しても、相談実勢が多い弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。

過去事例などから怪しい取引事業者やセミナー主催者などがわかっていたり、海外取引業者の情報にも詳しいという情報面の強みの他に、海外FX業者とのやり取りができる外国語に堪能だというメリットがある弁護士もいるでしょう。

弁護士事務所のHPから問い合わせたり、市区町村の法律相談照会を利用するなどして、FX詐欺の取り扱い実績のある弁護士に依頼しましょう。

証拠を集めておく

FX詐欺をはじめ詐欺犯罪は「お金を意図的に騙し取られた」ことを立証するのが難しい犯罪です。

騙されたことを立証し、犯人逮捕により罪を償わせたり騙し取られたお金を取り戻すためには「騙された証拠」をできるだけ多く用意する必要があります。

必要な情報としては

  • 犯人の情報:氏名(会社名)、住所、電話番号、勤務先、会社HPのURL
  • 被害の内容:日時、場所、振込先やお金の受け渡し先、被害額
  • 被害の事実の証明:振込明細書(相手の口座がわかるもの)、契約書、領収書、請求書

といったものが最低限必要になりますので、それぞれをわかりやすく説明できるようにまとめておくようにしましょう。
また、原本を提出した後に別の手続きで証拠が必要になることもありますので、証拠書類はコピーを取ったり写真に撮って保存しておくことをおすすめします。

まとめ


FX詐欺被害に遭ってしまったら、事件の事実を報告するためにまず警察に被害届を提出しましょう。

しかし、警察には被害回復のための返金請求など返金に関する行動は取れないため、FX詐欺被害回復のためには弁護士に相談することをおすすめします。

一刻も早く被害回復し、お金と共に日常生活を取り戻せるよう弁護士と共に詐欺犯に立ち向かいましょう。

また、FX取引などの金融商品には「絶対儲かる」、「何もしなくても自動で勝てる」という保証はありません。

甘い言葉に騙されてFX詐欺被害に遭わないように、自分で自分の身を守るように十分注意しながら取引しましょう。