結婚詐欺を立証するために必要な証拠は?証拠の掴み方と気をつけるべきポイント

幸せな将来を夢見て結婚の約束をしたのに、お金を騙し取られてしまった。

このような状態に陥ったとき、結婚詐欺を立証して慰謝料請求返金請求したいと思いますよね。

結婚詐欺の立証には、多くの証拠が必要になります。

押さえておきたい証拠と、慰謝料請求のための重要なポイントなどを詳しく解説します。

結婚詐欺に遭ってしまった、と気づいたらすぐに証拠集めを始めましょう。

【この記事でわかること】

  • 結婚詐欺の立証に有効な証拠と注意したい証拠
  • 慰謝料請求できる期間や条件
  • 慰謝料請求のためにやることの流れ

結婚詐欺を立証するために押さえておきたい証拠


結婚詐欺は、刑事事件と民事事件両方で立証できます。

刑事事件では相手に刑罰を与えることになり、民事事件では精神的苦痛に対する慰謝料や返金請求を行えます。

どちらも結婚詐欺であることを立証するために、有利になる証拠を押さえておきましょう。

騙そうとしていた意思があったことを示す証拠

結婚詐欺は、「相手にもともと結婚する意思がなかった」ことを証明することが重要です。

「結婚するつもりはあったから嘘はついていない」と言い訳されると、証明が難しいため、次のような事実があったか調べましょう。

  • 相手が既に結婚していた
  • 相手に他に結婚を約束した婚約者がいた
  • 名前や住所、勤務先を詐称していた
  • 複数交際相手がいて、それぞれに結婚を約束していた

そもそも既婚で結婚できないという場合はもちろん、「嘘をついて騙した」という証明には個人情報の詐称も有効ですので、名前や住所に嘘がないかや勤務先に実際勤務していたか調べることも大事です。

自分で調べることが難しい場合は、弁護士や警察に相談することも大切です。

婚約をしていたことがわかる具体的な証拠

結婚詐欺は被害者の精神苦痛が大きいため、悪質な詐欺として立証され慰謝料を多く請求できます。

そのためにも結婚前提だった婚約の事実が証拠として必要です。

  • 婚約指輪の交換をした
  • 結婚式場予約をした
  • 結納をした
  • 婚約者として親に紹介し結婚の承諾をもらっていた
  • 婚約者として友人に紹介していた
  • 結婚する意思を示したメールなどの文面

証拠として提出するには、領収書や相手とのやりとりの記録の書面、写真が重要です。

また、結婚しようと話している動画や録音データも証拠になりますので、なるべく多くの事実を探しましょう。家族や友人に協力してもらうことも大切です。

お金を送金した履歴やログなどを残しておく

実際に相手にお金を渡した事実がないと、詐欺として立証できず詐欺未遂になってしまいます。

送金や手渡しした事実を日付や場所まで特定して集めましょう。

  • 相手の口座番号がわかる振り込み明細書
  • 借用書や念書
  • 現金書留の控え

明細書や控えがある場合はそのまま証拠として有効です。

現金手渡しで借用書などもらっていない場合は、受け渡し前後のメールやLINEにお金に関する文言があれば証拠になる場合がありますので、さかのぼって細かく調べましょう。

妊娠は結婚詐欺の証拠としては弱いかもしれない

相手との婚前交渉で妊娠した場合、結婚詐欺の証拠としては有利にならないかもしれません。

結婚詐欺の立証に必要なのは「結婚しようと騙して金銭を搾取した」事実です。

妊娠した事実は、相手が「騙すつもりはなかった」と言い訳できる事実になってしまうことがあります。

妊娠により結婚を早めようと提案されたり、「今は中絶して結婚後改めて子供を作ろう」と提案されたメールや録音データがあれば、結婚に前向きであることがわかり有効な証拠になるかもしれません。

妊娠を証拠にすることは、当時の状況やその後の展開をよく思い出して判断することが大切ですので、弁護士に相談することをおすすめします。

相手が既婚者だった場合はさらに注意が必要

前述した通り「相手に騙す意思があった」ことの証拠に既婚者であることが有効なのですが、既婚者の場合は要注意です。

相手の配偶者から不貞の事実があったと逆に慰謝料を請求される可能性があるからです。

相手が既婚者の場合大事なポイントは以下です。

  • 相手が既婚者だと知らなかった
  • 既婚者と知って以降不貞行為を行なっていない
  • 相手が独身だとはっきり主張していた証拠がある

あくまで自分は被害者であり、騙されたという証拠を集めましょう。

独身者しか登録できない婚活サイトを利用していた事実や、独身であると明言した文面のメールを書面にしておくことをおすすめします。

結婚詐欺で慰謝料を請求するための重要なポイント


結婚詐欺で慰謝料を請求するために押さえておきたいポイントを解説します。

結婚詐欺で訴えて慰謝料を請求できるのには期限があります。

また、結婚詐欺と立証できないと、慰謝料を請求できない場合もあります。

悔しい思いをこれ以上しないためにも確実に慰謝料を請求しましょう。

結婚詐欺の被害に遭ってから3年以内に請求する

結婚詐欺の時効は3年です。

早すぎると思うかもしれませんが、結婚詐欺に気づいた時点から3年以内に慰謝料請求の訴訟を起こしましょう。

また、結婚詐欺で騙し取られたお金の返還請求は、結婚詐欺に気付いてから10年以内可能です。

どちらも気づいた時点で素早く行動することが大切です。

【例外】

自分では結婚詐欺だと気づかなかったけれど、ニュースなどで結婚詐欺に遭ったことがわかった場合などは、分かった時点から5年以内であれば民事訴訟を起こせます。

また、犯人自身が結婚詐欺を認めた場合は3年以上経過していても訴訟可能です。

お金を取られていない場合は立証が難しい

結婚を約束していたのに、お金を渡すことを拒否したら連絡が途絶えたパターンなど実際にお金を取られていない場合、結婚詐欺として立証することは難しいかもしれません。

そのため慰謝料の請求が難しかったり、請求金額が低くなる可能性があります。

ただし、婚約期間の長さや当時の年齢、婚約破棄がきっかけの病気や退職などの事情により、婚約破棄の慰謝料を請求することが可能です。

結婚詐欺の立証が難しくても、あきらめずに違う方法を探しましょう。

弁護士など専門家に相談すると、他の方法を探してくれるはずです。

自分からお金などを渡した場合は請求できないかも

結婚詐欺には「相手に騙されて金品を渡した」事実が必要です。

そのため「困っているだろうから」と自分から金品を渡してしまうと、プレゼント(贈与)とみなされ賠償請求できない可能性が高くなります。

プレゼントと判断されないためには、何らかの理由によりお金が必要で、金品を要求されたのがわかるメールなどの文面や、録音データが証拠として必要です。

車やマンションなど高額なものを送った場合、それ自体の返還は難しいですが、正当な理由がないのに婚約を破棄されたとして慰謝料を請求することは可能かもしれません。

結婚詐欺の慰謝料を請求する際の流れは?


結婚詐欺の被害に遭ったことが判明してから、慰謝料を請求するまでにはどんなプロセスがあるのでしょうか。

流れを知っておけば、何かトラブルがあった時も対処がスムーズにできるのではないでしょうか。

全てを自分1人でやろうとするのは、精神的にも肉体的にもかなりの負担になります。

自分1人ではできないと思った時は、信頼できる相手に相談してみるのもおすすめですよ。

疑わしい時点で証拠を集め始める

婚約者からお金を貸してほしいと相談されたら、どんなに好きでも違和感を感じるのではないでしょうか。

ちょっとでも「おかしいな」と感じた時点で、メールやLINEの文面を記録したり、個人情報や勤務先の詐称がないかなどを調べましょう。

結婚詐欺師はいざという時言い逃れできるように、証拠になるようなメッセージや写真は残さないようにしている傾向があります。

やりすぎと思われるかもしれませんが、デートの際気になる会話を録音したり、電話でお金を要求されたらその後改めてメールなどで詳細を書いて送るよう頼んでみましょう。

結婚詐欺が成立することを立証する

結婚詐欺の立証に必要な証拠をできるだけ集めてから、弁護士に相談しましょう。

結婚詐欺の相談実績の多い弁護士であれば、集めた証拠から結婚詐欺が成立するか予測できます。

そして弁護士に相談した上で警察へ行き、被害届の提出刑事訴訟について相談しましょう。

先に弁護士に相談することで、刑事事件として罪になるか聞けます。

また、自分で警察に行くのに抵抗がある場合は、弁護士に代理人になってもらいましょう。

結婚詐欺の立証は証拠の内容により難しい場合も多いので、プロに任せることをおすすめします。

請求書を相手に送って支払ってもらう

結婚詐欺による被害に相当した慰謝料を決定するのも、自分では難しいかもしれません。

被害額や交際期間、婚約破棄による生活への影響などを考慮し、納得できる慰謝料にするためやはり弁護士に相談するのをおすすめします。

請求額が決定したら、内容証明郵便で請求書を送り、相手に支払いを求めます。

合意が得られて支払う意思が見られれば、慰謝料の支払いを確実にするため公正証書で和解書を作成しましょう。

公正証書にしておけば、支払いが滞った場合に相手の財産を差し押さえられますので、必ず作成しましょう。

交渉に応じない場合は裁判を起こすこともある

請求書を送っても返答がない場合や、請求額の支払いができないと交渉に応じない場合、訴訟を起こして裁判に持ち込むこともあります。

民事訴訟の場合、必要書類を裁判所に提出することで訴訟は可能です。

裁判の日に言い分を述べる必要がありますので、念入りに準備しておきましょう。

勝訴できれば、相手は損害賠償や慰謝料を支払う義務を負います。

ただし、自分1人で訴訟を起こすと証拠が不十分だったり、言い分がうまく伝わらず裁判が不利になることが考えられます。

裁判に持ち込む際は、結婚詐欺に精通した弁護士に相談し、アドバイスをもらうことをおすすめします。

まとめ:結婚詐欺を立証するために証拠を集めておくのが大事


結婚詐欺被害に遭ってしまったら、気持ちを切り替えてとにかく早く証拠を集めることが重要です。

自分だけで証拠が集められない場合や、慰謝料が請求できるかわからない場合などは、結婚詐欺に精通した弁護士に相談しましょう。

どんな証拠が必要か、自分で集められない場合の対処法など詳しいアドバイスが期待できます。

刑事告訴したい場合も、弁護士に相談してからの方がスムーズに進むことが多いため、辛い気持ちを抱えこまずまずは無料相談してはいかがでしょう。

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